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◆世界が絶賛する日本の明治・大正の木版画◆
 


欧米で本画以上に日本の木版画が尊重され美術館・博物館・著名なコレクターが競って収蔵・所蔵するのは、絵師の下絵に勝れた技術を持った彫師・摺師の技が加わり、みごとに完成した芸術作品だからである。竹内棲鳳(栖鳳)も木版画を愛し、その良さを十分に知った一人で、自らが彫師・摺師と共に明治25年頃より数々の名作を残している。
 大量にある日本画、洋画の一点ものを貴重がる日本では、木版画を庶民が好んだ廓話・役者絵・名所図絵の延長に残ったものとして蔑み無視し続けた為、日本が世界に誇る明治・大正のすばらしい木版画はその大半が外国に流出してゆきました。残存しているのはわずかです。
 大切にしなかった為に後継者が育たず、昭和30年頃には最後の名人達も世を去り、伝統木版画は終わりを告げました。今後再び世界が絶賛する珠玉の木版画が創られるのは難しいと思います。
 わずかに残っていた良い木版画もここ2・3年の間にそっくりヨーロッパに持っていかれました。オークションの現場にいて最後までせっているのは外人がほとんどでした。残っているのは江戸ものの複刻版や状態の悪いものばかりになりました。
 明治期に創られた芳年,国周,小原古邨の木版画や口絵等の豪華本が外国で次々と出版され、オランダ国立アムステルダム美術館が日本人アーティストとして初めての「小原古邨展」美術展を開催(2001年3月31日〜7月1日)するなどしたことから、その本当の価値をやっと気付き始めた美術評論家,浮世絵研究家、美術館学芸員,画商達もわずかですが表れてきたようです。日本では最高の芸術作品と思われた明治・大正・昭和・平成の巨匠達の日本画、洋画は実は日本だけの話しで、欧米の一流美術館が横山大観や東山魁夷の絵を収蔵・所蔵したという話は聞いたこともありません。
 伝統木版画の価値の高まりに比べて、明治以降の日本画・洋画の低落振りは何と言うのか・・・・11月18日にシンワアートオークションで日本画の巨匠で文化勲章文化功労者,美術院会員の奥田元宋の8号の日本画が不況の時とは言え低価の58万円で落札されましたが、バブル期には4000万円の売値でした。(「美術市場」参照)。今までの日本の絵画に対する常識が変わり、これからはやっと本物が正しく認識されてゆく事でしょう。

 なおこうした一連の情報(アムステルダム美術館の小原古邨展開催。オランダなど外国の明治・大正の伝統木版画集の出版。小原古邨、国周、芳年口絵集など)は全て外国のインターネットから得たものです。


2001年11月 三島茜画廊






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