「地球温暖化 そして 国立漫画美術館」


 イタリアサミットG8で先進国は2050年までにCO2を80%削減するという目標を掲げた。これは大変な目標値である。これを達成しようと思えば今の経済活動をほとんど停止するくらいのことをしなければ不可能であろう。そもそもが「温暖化対策と経済活動は相反する」。それを両立していこうというのであるから滅茶苦茶な話である。しかしその「相反する」の大前提は「今の社会は化石燃料を燃やしたエネルギーで成り立っている」であるから、とするとやるべきことは決まっている。脱化石燃料。従って第1にやるべきことはクリーンエネルギーの開発、普及である。太陽光、風力、地熱・・・など化石燃料以外からエネルギーを取り出すことである。今日本は税金の相当部分をこれに投入し新クリーンエネルギー産業へリソーセス(人、物、金)をシフトさせていかなくてはならないのは自明であり、従来型の経済対策からさよならしてもらわなくてはならない。

 …と能書きをたれるのは簡単。わかりきったことでも実行に移すのが難しい。なぜか?最大の原因は今の政治家が昔ながらの票田を大事にしているからであろう。上記のような考え方が日本国民のマジョリティ(大多数)の意見となり、政治家がそのマジョリティを最大の票田として認識するようにならなくてはならない。

 さて私どもの美術産業に直接関係あるのが国立漫画美術館(仮名)。これも旧態依然とした従来型景気対策の典型である。美術館の価値とは何か?それは所蔵品の内容であり、それを集め公開する優秀な学芸員たち(人材)である。建物(箱)は二の次。しかし残念ながら建物が先行して話が進んでいる。そして一般市民には手に入らない希少価値のある美術品が見れるのが美術館。漫画やアニメはすばらしい文化ではあるが完成作品は本屋や映画館やテレビでだれでも見ることができる。美術館に行かなくても。原画を所蔵すると言うが原画は完成作品でないエスキースであり、見てほしくないと言っている漫画家もいらっしゃる。美術館に漫画は変というのが常識的な考え方である。無駄な建物を作ることは大切な国民のお金とエネルギーを浪費することに他ならない。それでもどうして作りたいと言うなら百歩譲って使われていない建物を改造して作るべきであろう。

 しかしながら一歩走り出した公共事業は止まらない。身近な例では静岡空港がそうであった。(7月12日のサンデープロジェクトの特集で詳細が報道されました)。一度金が動き既得権が発生してしまうと止めたくないし、止めて責任問題にしたくない。どうすれば止められるのか?どうすれば正しい方向にチェンジできるのか?

 茜画廊は今後もメッセージを送り続けていきます。あるべき姿について。そして常に「画廊はどうあるべきか?」を追求していく所存です。
                                       平成21年8月1日   茜画廊





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